ドイツの学校制度~小学校から高校まで ドイツ現地校のリアル
今回はドイツの学校制度について、現地校のリアルをお伝えしていきます。ドイツは日本の学校制度とはシステム自体がかなり違います。また、授業の内容も一斉授業・暗記中心の日本の教育とは異なり、ディスカッション・プレゼン中心でグループワークなどもよくあるのが特徴です。

ドイツの小学校は4年生まで!小学校でも留年アリ
ドイツの義務教育は9年(ベルリン、ブランデンブルク州は学校により10年)ですが、そのうち小学校(Grundschule)は4年生までです。5年生からは次の中等教育の学校に進みます。ベルリン、ブランデンブルク州は6年生まで小学校があり、5年生から次の学校に進むか、6年生まで小学校に残るか各家庭が決めることができます。
ドイツの小学校では、教師が学力不足や精神的な未熟さを理由に、生徒を留年させることがあります。その反対に飛び級させることもあるのです。いわゆるギフテッドと呼ばれる知能の高い生徒は、普通の授業の進行が遅いと感じ、退屈になってしまうためです。
また、入学時の年齢も、基本的には6歳ですが、子供の発達状態などを見て、1年遅らせて入学させることもあります。画一的に同じ年齢で入学し、同じ年齢で卒業する日本の小学校とは違い、個々の特性に応じてフレキシブルであるのがドイツの小学校の特徴です。
小学校以降はどんな学校に行く?ドイツに受験はあるの?
ドイツの学校は6年生以降も通して7年生、8年生と数えます。つまり、日本でいう中学1年生は7年生となります。
ドイツの小学校以降の学校制度は、生徒の成績や将来の進路に応じて、以下のように、3つの進路があります。
①ギムナジウム(Gymnasium) 大学進学を目指す生徒向けの学校。
12年生または13年生まで通い、最終的にアビトゥーア(Abitur)という大学入学資格試験を受けます。 アビトゥーアに合格すれば、大学(Universität)や専門大学(Fachhochschule)に進学できます。
②レアルシューレ(Realschule / 実科学校)
主に中堅レベルの職業や専門職に就くための学校。
10年生まで通い、中等教育修了資格(Realschulabschluss)を取得。
卒業後は職業訓練(デュアルシステム)に進むか、さらに専門学校(Fachoberschule)などで学び、高等教育を目指すことも可能です。
③ハウプトシューレ(Hauptschule / 基幹学校)
職業訓練や実務的な仕事に向けた教育を提供する学校。
9年生または10年生まで通い、基幹学校卒業資格(Hauptschulabschluss)を取得。
卒業後は職業訓練(Berufsausbildung)を受けたり、さらなる教育機関へ進学したりする道もあります。
また、一部の州では①②③の学校を統合した「ゲザムトシューレ(Gesamtschule / 総合学校)」があり、成績に応じて進路を柔軟に決められる制度もあります。
ドイツの学校制度では日本のような大学受験はありませんが、ギムナジウムやゲザムトシューレの卒業試験の結果をもって、どの大学のどの学部に入学できるかが決まります。
【日独比較】 学校での教育の違い
ドイツの学校の制度は上記の通りですが、授業の内容や成績の評価については、日本とどのような違いがあるのでしょうか。
小学校やその後の学校に共通して言えることですが、ドイツの授業は生徒の積極性が大切です。グループワークやプレゼンテーションも小学校3、4年生から始まることが多いです。教師が黒板を使って教え、生徒はノートを取るという、日本の一般的授業ももちろん行われますが、プレゼンテーションやディスカッションなどの機会が多いのはドイツの学校の特徴的な部分です。
また成績も、授業中に手を挙げて積極的に参加したか、グループワークの発表時に他の生徒へ質問をしたかといった、授業への積極性に関しての評価が50%、テストの点数が50%という配分で決まります。小学校以降は特に、暗記力より「考える力」や「プレゼンテーション能力」が重視されるところが、日本の学校との最大の違いです。
ちなみにドイツの成績表は1が最もよい評価で、6が最も低い評価となります。

今回は、ドイツの学校制度や授業の様子を解説してみました。どちらの教育制度がいいかということは安易には言えませんが、ドイツの学校は、制度も授業の内容もかなり日本のものと違っているということはご理解いただけたかと思います。
高校以降の学校については、こちらの記事も参考にされてください。